福利厚生とは、経営者が従業員のために設けたサービスや施策のことを指す言葉で、給料とは別の形で提供されるものです。大きく分けて「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の二つに分けられます。どちらも、職場環境や従業員満足度に密接にかかわっているため、警備員を目指す場合は、働く警備会社の福利厚生を知っておくと良いでしょう。今回は、警備員の具体的な福利厚生制度について詳しく紹介します。
法定福利厚生とは
法定福利厚生とは、法律によって義務づけられている福利厚生制度のことで、以下の種類に分類することができます。
雇用保険(失業保険)
雇用保険は、退職者の経済的な負担を救済する保険です。会社都合の退職、または自らの意思による退職など、退職理由によって給付される金額や期間は異なりますが、失業をした方の生活の安定をはかることができます。
労災保険(労働保険)
業務中または通勤中にケガをした場合に、給付を受けられるのが労災保険です。ケガに加えて、加入者が病気あるいは死亡をした場合でも保険給付が行われます。働けなくなった労働者や、その家族の生活を守るという役目を担っています。
医療保険
医療保険とは、加入者がケガや病気の治療を受ける際に、治療にかかる費用を国に負担してもらえる保険です。美容を目的とする整形手術のように、治療内容によっては健康保険が使用できないケースもあります。
厚生年金保険
厚生年金保険は、国民年金に上乗せされる形で保障される年金制度です。支払う保険料は企業が折半してくれるため、加入する労働者の負担が軽くなります。
介護保険
介護保険とは、介護認定を受けた65歳以上の方が、治療や介護にかかる費用を国に負担してもらえる保険です。訪問介護やデイサービス、ホームヘルパーなどを利用する際に活用できます。
このほかにも、業務災害や通勤災害時に賃金を補償する「休業補償」や、子育て支援のために充てられる「子ども・子育て拠出金」なども、法定福利に含まれます。いずれも、快適な職場環境を形成するうえで欠かせず、従業員が安定した生活を送るために必要な制度です。
法定外福利厚生とは
上記の法定福利厚生に該当しない制度は、法定外福利厚生と呼ばれます。例えば、住宅手当や家賃補助、通勤にかかる交通費の負担、社員旅行の実施などが該当するでしょう。法定外福利厚生は企業が独自で設けているものが多く、従業員の離職率の低下、職場での生産性の向上などを目的に導入されています。中にはユニークな福利厚生制度をアピールして競合他社との差別化をはかり、従業員の募集に役立てる企業も少なくありません。
警備会社が導入する法定外福利厚生とは
警備会社が導入する法定外福利厚生は、勤務地を選びやすいように社宅を提供したり、スキルアップに必要な資格に取得手当を支給したり、警備員として働くうえで役立つものがほとんどです。いずれの福利厚生制度も、求人情報の「福利厚生」や「待遇」という項目に具体的な内容が掲載されているので、求人に応募をする前に確認しておきましょう。法定外福利厚生を活用することで、生活費や教育費などを大きく節約することも可能です。
ただ、警備員の生活スタイルや家族構成によっては、活用の難しい制度もあります。例えば、子どもがいない方や独身の方の場合は、育児手当や介護手当などの福利厚生を利用できず、制度の恩恵を受けることができません。そのため警備会社を選ぶ際は、自分または家族にとって、掲載されている福利厚生が役に立つかどうかを確認するようにしましょう。ちなみに、法定外福利厚生を制度化している企業によっては、従業員が好きな福利厚生を選んで利用できる「カフェテリアプラン」を設けているケースもあります。このプランであれば、生活スタイルや家族構成に左右されず福利厚生を無駄なく利用可能です。
法定福利厚生(社会保険)の加入条件とは
法定福利厚生として先に挙げた、健康保険や厚生年金保険のことを「社会保険」と言います。警備員だけに限ったことではありませんが、正社員として働く場合はこの社会保険に必ず加入することになります。ただし、アルバイトのような短時間労働者として働く場合は、以下の加入条件をすべて満たしている方しか加入できません。
- 1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上の方。
- 1ヶ月あたりの決まった賃金が8万8,000円以上の方。
- 雇用期間の見込みが1年以上の方。
- 学生ではない方(夜間、通信、定時制の学生を除く)。
- 従業員数が501人以上の会社で働いている方。もしくは従業員数が500人以下の会社で働いており、社会保険の加入することについて労使で合意なされている方。
参考:厚生労働省
警備員は「人々を危険から守る」という職務を担っている以上、ほかの職業と比較をしても事故やケガの危険性が高い仕事と言えます。そのため、どのような労働形態であっても、万が一に備えて医療費や保険料を軽減できる社会保険への加入をおすすめします。社会保険に加入するため、アルバイトから正社員の警備員を目指す場合、資格や経験はとくに必要ありません。とはいえ「交通誘導警備検定」や「雑踏警備検定」など、警備の業務に役立つ資格は数が多く、これらを所持しておくことで就職や転職が有利になることは言うまでもないでしょう。正社員として働くため、業務で役立つ資格を事前に取得しておくのも良い方法です。
このほかにも、募集要項に「正社員登用制度」のある警備会社で働くという手です。この制度は、パートやアルバイト、契約社員などの雇用形態で働く労働者が正社員へ転換する制度のことを指します。正社員として登用される条件は警備会社ごとに異なりますが、アルバイトから正社員になれる警備の求人をお探しならセキュリティーワークで警備の仕事を検索していきましょう。
以上、福利厚生の種類とそれぞれの詳細について紹介しました。警備員の求人を選ぶ際には、福利厚生の内容にも注目し、働きやすい職場を探してみてはいかがでしょうか。