警備員と警察官は、どちらも名前と見た目がよく似ています。両方の仕事は「人々を危険から守るために働いている」という点こそ同じですが、警備員と警察官の違いを把握している人は少ないかもしれません。今回は、警備員と警察官の特徴をそれぞれ紹介したうえで、具体的な違いを詳しく紹介しましょう。
警備員の民間企業の会社員
警備員とは、警備会社で働く民間企業の労働者です。個人や企業から依頼を受ける形で、警備業法に基づいて人々の安全や財産を守る保安業務を担います。ただし、警備員であっても、犯罪者の逮捕や事件を捜査する権限は持っていません。民間の警備会社で働く以上は、警備員も一般人となるのです。逮捕する強制力を持たない以上、警備員が現行犯で不審者や暴漢を取り押さえたとしても、すぐに警察に引き渡す必要があります。
警察官は国家の公務員
警備員に対して、警察官は国に雇われる国家公務員です。警職法(警察官職務執行法)に基づき、法律を犯した人を捕まえる権力を持っているほか、事件の捜査や犯人の取り調べなども行うことができます。また、会社員と公務員という違いがあるため、警備員の給料は勤めている企業から支払われるのに対し、警察官の給料は国や地方自治体から支払われるという違いもあります。
警備員と警察官の制服はなぜ似ている?
警備員の制服が警察官と似ている理由は、犯罪を発生させにくくするためです。「警察官の制服を見るだけで何もしていないのに緊張する・身構えてしまう」といった経験はありませんか?警察官と似ている制服を着た警備員がいるだけでも、心理的な面で犯罪の抑制に繋がります。つまり警備員の制服は、あえて警察官に見えるように似せて作られていると言えるかもしれません。また、制服によって周囲から、警備員の存在を分かりやすくすると、火災や事故などが起こった際に人々を誘導しやすくなるというメリットもあります。
しかし、警備員が警察官とまったく同じ制服を着ることはできません。これは、見た目で警察官なのか警備員なのか判別できないと、両方の仕事に支障をきたしてしまうためです。例えば、警察官を偽った警備員が犯罪を起こす可能性もあるでしょう。そのため、似てはいても同じ制服にはしないのです。警備会社で貸与される制服は、都道府県の公安委員会の許可を得たものを着用する義務があり、警察官の制服と比較をすると色や形などが異なっています。
警備員と警察官を見分けるポイント
警察官の制服は、「国家公安委員会規則」によって定められています。規則を見てみましょう。
警察官は、勤務中は、制服、制帽、制服用ワイシャツ、ネクタイ、ベルト及び靴を着用し、並びに帯革、手錠並びに階級章及び識別章(長官にあつては警察庁長官章、警視総監にあつては階級章)を着装しなければならない。
出典:警察官の服制に関する規則|国家公安委員会規則
- 夏服の上衣は水色のもの。ズボンは藍色とする。
- 冬服の上衣とズボンは、濃紺色のものとする。
- エンブレムは、右袖の上腕部に付ける。
「どうやって見分けるの?」と疑問に思った方もいるかもしれません。ただ、これまで生活してきた中で周りの警察官を見て、テレビに映っている警察官を見て、直感的に警察官の制服は判断できるのではないでしょうか。もし分からない場合でも、ここに挙げた特徴をすべて覚える必要はなく、上着やズボンの色、エンブレムの位置を覚えておけば区別がつくはずです。警察官に対し、警備員の制服は警備会社ごとに異なりますが、胸や上腕部に所属する警備会社のワッペンを付けていることが多いため、警備員と警察官を判別すること自体は容易です。
また、警察官は警察活動を任務として遂行するために、拳銃の所持が義務付けられています。室内勤務のような状況を除いて、警察官は常に携帯しているため、拳銃の有無でも警察官と警備員を見分けることも可能です。ちなみに、民間人と同じである警備員は拳銃を所持できませんが、護身用具として警戒棒や刺又などは所持することはできます。以上の点を踏まえて警備員と警察官の違いをまとめると、以下の3点になります。
- 警備員は民間の会社員、警察官は国家公務員である。
- 捜査や逮捕の強制力を持っているのは警察官のみである。
- 警察官の制服は法律で決められているが、警備員の制服は警備会社ごとに異なる。
上記以外の違いを挙げると、「就職の方法」なども異なるでしょう。警察官になるには警察官採用試験に合格し、職務上必要となる「普通二輪免許」や「無線免許」などを取得する必要があります。これに対し、警備員になるには資格が必要なく、未経験でも転職しやすい業界です。
警備員は40代50代など中高年で未経験でも活躍しやすい特徴がありますので、転職の際にはぜひ警備業界も検討してみてください。これから警備の求人をお探しならセキュリティーワークで警備の仕事を検索していきましょう。